2014/11/03

アンズタケとラム肉パスタ

某が通うきのこ山にはアンズタケがよく採れる。
日本で馴染みのあるアンズタケと呼ばれるものは黄金色のとても
綺麗なきのこです。
某の住む北米地域でも同じく黄金色の通称Golden Chanterelle
(ゴールデンシャンテレル)と呼ばれるものがやはり多数なのだが、
某が通うきのこ山にはシロアンズタケと
呼ばれるものが多い。
シロアンズタケはその名の通りアンズタケより白味を帯びてWhite Chanterelleと
英語では呼ばれている。
GoldenがCantharellus cibariusなのに対しWhiteはCantharellus subalbidusという
学名が付いているが北米で食用とされる際はどちらも同等(価値)として
扱われている。
写真で見るとほとんど白色であるが、ややクリーム色がかった個体が多い。
そして何よりも大きい。
アメリカマツタケと同じく大きいので採り甲斐があって、険しい山の中を
歩いているうちにきのこの重量が苦に感じてくるほどである。
アンズタケという名が付く通り杏のような香りがするきのこなのだが、
シロアンズタケはあまり香りがしない。
そういうと語弊があるが、採取直後はさほど香りがしないと言ったほうが
良いだろう。
しかし根元部分から切り取り、一日山の中を歩き回ってきのこの選別を
はじめる頃、真っ白あるいはクリーム色したアンズタケは徐々に色が
褪せていく。
傷がある部分や切り口付近は茶色や濃いオレンジ色に変色していく。
そしてこの頃から異常なくらいに杏の香りが立ち込めてくる。
本来なら採取直後にヒダの間に入り込んだゴミ等を取り除いたほうが、
後々の手間が省けるのだが、ついついその手間を怠ってしまう。
きのこ狩りの後はかなりヘトヘトになっていて、こんな泥だらけのまま
放ったらかしにしていつも後悔している。
なるべくゴミを取れるだけ取った後、半分以上は乾燥アンズタケにする。
あれほど大きく重量のあったアンズタケも乾燥させるととても小さくなる。
そして常温で長期保存できる。そして何よりも香りがさらに深くなる。

せっかく採ってきたアンズタケだからフレッシュなものも味わいたいので、
毎年必ず少しはアンズタケ料理を作る。
よくやるのが定番のシチューやオムレツ、パスタといったところだろう。
鶏肉や豚肉、子牛肉に相性が良いというがラム肉でも問題ない、
と?、某は思う?。
ラム肉が好きな某だからなんだが、ラム肉をライムジュース、ビネガー、
ニンニク、塩胡椒、オイルでマリネしたものをフライパンで炒めながら、
茹で上がったパスタとパプリカを入れただけのシンプルな
ラム肉アンズタケパスタはかなり旨い。

最近では食毒扱いされるきのこになってしまったアンズタケで、
これを堂々と食べているのはどうかと思うが、欧米ではアンズタケは
やはり人気のきのこで、度を超えて食しなければ問題ないのかもしれない。
放射性物質を取り込む性質があるとの報告があるが、これはこの種に
限ったことではないし、何よりも自分が採取しているエリアがどうかが
問題かとも思う。
ちなみに某の通うきのこ山は職業きのこピッカーが採取して小遣い稼ぎを
しているので、普通に流通しているものと思われる。

乾燥アンズタケはスーパーでも売っているが、1オンス(30gぐらい)で
5ドル以上するので、結構贅沢なきのこかもしれない。
自分で採ってきて当たり前のように調理しているが、もっと感謝して
食せねばと思う。

2014/10/24

ナラタケの煮浸し

今年はナラタケが大量に採れた。
朽ちた倒木から大量に発生したり、見上げた木の上のほうまでも
あちこちで出ていた。
しかし至る所にありとあらゆるきのこが出ており、ナラタケを採るすぐ側に
マツタケまでが顔を覗かせているので、両手に持てる量も限られているので
ナラタケは本当に良さそうなものだけを採取したのだが、
それでもかなりの量のナラタケを採取した。
株になっているのでとにかく一度に採れる量が半端ない。
そして、時間とともに特に柄の部分が黒く変色していくので
帰宅後はなるべく早めに下処理をして、冷凍するなり塩漬けするなりして
保存するように心がけている。
フレッシュなものをフレッシュなまま頂きたいので、綺麗に掃除した
ナラタケを10本程度昆布と一緒に出汁を取った。
ナラタケが人気の理由である一つに旨い出汁が取れることだと思う。
ほのかに甘く濃厚な出汁は沸騰しない程度でぐつぐつやると、
うどんや鍋に最高に合う出汁となる。
今回はこの出汁とナラタケ、そして冷蔵庫で眠っていた中国野菜の
ガイランを使い、さらに煮立ててみりん、砂糖、醤油で味付けて、
煮浸しを作ってみた。
甘い出汁を吸ったガイランはさらに旨くなり、ナラタケも傘の部分は
少しぬめりが口当たりを良くして、柄の部分の歯切れも良い。
柄の部分のシャキシャキ感が嫌な人も煮浸しにして頂くと
少しまろやかになって食べやすいと感じるだろう。

しかしながらナラタケは最近では食毒扱いもされているようだ。
たしかに少し消化が悪いので食べ過ぎるとお腹を壊すこともあるようだが、
某は今まで一度もお腹を壊したことはない。
要は食べ過ぎればなんでも毒になりうるからかもしれない。
イグチだった食べ過ぎるとやはりお腹を壊すので(下痢したことがある)
何事も程々に。

2014/10/19

北米のマツタケ Tricholoma magnivelare

某がマツタケマツタケと騒いでいるのは、国産の上質なものではなく
北米のWhite MatsutakeとかPine Mushroomとか呼ばれている
アメリカマツタケのことである。
国産ものと比べれば香りも数段落ちるが、何より手頃な値段で
とにかく腹一杯食べれる点は優れていると思う。

カナダアメリカの東部の一部とロッキー周辺の西部で秋になると
必ずしかも大量(年にもよるが)に発生するきのこで、
某の住むカナダロッキー周辺ではTricholoma magnivelareという種が
広範囲に分布している。
アメリカマツタケの生育条件は日本のものと幾分違うようだ。
アカマツ林でしかも落ち葉の堆積が少なく下草の掃除が行き届いた
きれい?な森等はもともと存在しない。
北米の森はむしろ手の行き届かない原生に近い森の中で見つかる。
アカマツは日本固有種であるので北米では北米の針葉樹の森で
マツタケは見つかる。
ちなみに某のきのこ山にはカナダツガという針葉樹の森に多く見られるが
条件さえそろえば、どこにでも発生している。
とにかく一つ一つの個体が大きく 多い年では菌円を描いて発生しているので
一つ見つけると一度に数個手に入れることができる。
それ故きのこ初心者でも簡単にマツタケ狩りができるから、
海外在住の日本人はこの時期よくマツタケ狩りに行くようだ。
真上から見ると巨大なマツタケが数個倒木の脇から顔を覗かせていて
容易に見つけることができるが、急な斜面で一定の方向からだと
まったくきのこの存在を確認することができない時もある。
倒木の右からアプローチすれば何の苦もなくマツタケを見つけることが
できるが左側からだと以外に発見できない。
傘がかなり反り返ってまるでシロハツの老菌のようにも見えるが
立派なマツタケである。
大きく反り返ったものはもちろんのこと傘が開いたものは、
職業きのこピッカーはお金にならないのでそのまま放置される。
個人できのこを食す某にはこんな個体でも十分有り難い。
今回も最大17cmの巨大なマツタケを採った。
こんな大きなものでも鼻を近づけるとやはりマツタケの香りがするし、
炊き込み御飯や佃煮等にはこういった個体を優先的に使うことができる。
左手前は傘の開いてないきのこ買い取り人が高値で買ってくれる
一級品です。
某は柄の部分の中実さを確認して(柔らかいと虫が入っている可能性がある)
一部を冷凍したり、マツタケ焼きやお吸い物等に使う。
それ以外の傘の開いたものや大きく成長しきったものは
早めに様々な料理に利用したりご近所や知り合いにお裾分けをしている。

2014/10/16

ハナイグチの醤油漬け

きのこ狩りに行って 少量であってもいつも必ず持ち帰るのが
このハナイグチである。
理由はただ一つ、旨いからである。
毎年必ずと言っていいほどハナイグチのみそ汁を頂く。
傘の部分のヌメリと柄の部分の歯ごたえが絶妙だ。

ハナイグチに限らずイグチの類いは採取後すぐに変色しだし、
痛みやすいのが特徴だ。
なので朝早くきのこ狩りに出かけて夜遅く帰宅しても、下処理等で
やるべきことはたくさんある。
そういう理由でハナイグチは最近は一食か二食分しか採らないようにして
その分他のきのこの処理に追われたりしている。

塩漬けや冷凍保存もあるが、やはり旬のものを頂くのが最良なので、
今回もみそ汁に使ったほかはおろし和えと醤油漬けにしただけである。
まずはきれいにゴミ等を取り除いたハナイグチを湯がく。
冷ましてこのまま冷蔵庫に保管しても数日は大丈夫だし、
このまま冷凍することも出来る。
今回は数が少ないので醤油漬けにした。
酒、醤油を1:1の割合で沸騰させた中に先ほどのハナイグチを入れる。
某はいつも酒、醤油の他に市販の液体濃縮の麺つゆを少量入れる。
そして瓶詰めにする。
こうしておけば数週間は冷蔵庫で保管できる。
しかし数週間も冷蔵庫で保管したことは一度もない。
なぜなら
あまりにも旨いからである。
傘部分のヌメリは僅かに残り、そして独特の歯ごたえは健在で、
某が酒の肴用に取っておいたものは夕食の食卓の引き出されて
すぐに無くなる。

いつも思うのだが、最後のきのこを食べ尽くした時に
「もっと採ってれば良かった」
「もう一度きのこ狩りに行こうか」
「冷凍してストックしておけば良かった」
などといろいろ後悔して来年のきのこシーズンまで待つことになる。

2014/10/12

ショウゲンジのキムチ和え

今年は松茸を採りすぎてしまい、粗略な扱いを受け 適当に収穫してしまった
ショウゲンジである。
味に癖が無く何にでもある万能きのこでとても優秀なのだが、
松茸を先に食すことが多いので、ショウゲンジはいつも茹でた後
塩漬けか冷凍保存し、来るべく将来?の為に取っておくのが常である。
今回も一部は冷凍して残りはタッパーで水に浸けて保存していた。
こうしておけば数日間は冷蔵庫で保存できる。
その間にショウゲンジパスタや炊き込み御飯やきのこうどん等を
作って消費すれば良いのだが、パスタはアンズタケで昨日食べたばかりだし、
それ以外はやはり松茸が幅を利かせていたし。
キムチ漬けが得意な韓国人の知り合いに大根の葉っぱを使うヨルムキムチを
応用した即席キムチ和えを伝授してもらい作ったのがこのショウゲンジの
キムチ和えである。
今回はじめて作ったのだが正直かなり美味しい。
日持ちもするし何より手軽に作れるのが良い。
何を入れても良いのだが、今回は葉が付いた大根と人参、ニラを使った。
まずは人参、大根を食べやすく短冊に刻み、葉のほうも細かく刻み、
塩揉みしてしんなりさせる。
その間に
大きなショウゲンジは食べやすいように小さく刻み、塩揉みの野菜と
和える。
野菜が柔らかくなったら流水で塩抜きし、固く搾って余計な水気を取る。
塩加減はわずかに塩が効いているかな程度で十分で塩辛いとあまり
良くない。
キムチ和えと言ったが即席和えではコチュジャンを使う。
コチュジャンはわずかな量でも濃厚なのと味見した時に唐辛子が
少ないかなと思っても後から辛さが追いかけてくるから程々が良いだろう。
キムチ一色になるほどではコチュジャンは入れ過ぎで全体に唐辛子が
まわればそれで良い。
本来のキムチ漬けではイカやエビ等を使うがアミノ酸の代用として
しょう油を少し入れれば良い。
そしてさらにごま油も適量入れて和えて適当な容器に入れて
冷蔵庫で保存する。
これで和えたその時から数日間楽しめる。

辛いのが苦手な人には難しいがコチュジャンは若干甘味があるので、
量を控えて作るなりして工夫すれば良いだろう。

2014/10/10

松茸の佃煮

今年は大豊作だった松茸。
松茸焼き、ホイル焼き、松茸ご飯にお吸い物、茶碗蒸しに天ぷら、
すき焼きや寄せ鍋とありとあらゆる献立が数日間続いた。
家族も今日くらいはハンバーガー等が良いときのこを敬遠しだす頃である。
たくさん採った松茸の中でも形の悪いものや虫食いに侵されているもの、
劣化して茶変してきたものは早めに食すか小さく裂いて佃煮にして
保存している。
とにかく大量の松茸で、我が家にある一番大きな寸胴鍋に満タンになるまで
松茸が入った。水に浸けてまずは虫出しを行う。
何度も何度も洗う。
洗う度に鍋の底に出てきた虫を取り除く。
加熱すれば問題ない虫なので、そこまで神経質に取り除く必要はないのだが、
見た目が気持ち悪いのでなるべく取り除くようにしている。
一煮立ちさせると徐々に嵩が減ってきて幾分調理しやすくなる。
初めの煮汁は出汁昆布で取った煮汁で松茸からもアクがでてくるので
それをすくい取る。
よく見るとアクの中に洗いきれてなかったゴミや松葉も浮いてくるので
それとともに上手に取り除く。

出汁用に取った昆布は小さく刻んで再度鍋に投入して佃煮する。
調味料はしょう油、砂糖、みりん、酒だけである。
長期保存するなら濃い目に煮付ければ良いし、松茸の風味を残すなら
少し薄めに仕上げても良いし、その辺は各人の好みで良いだろう。
煮詰まってくると鍋底が焦げやすくなるの弱火で時々かき混ぜながら
煮詰めていく。
自家製ジャムやピクルスを作るとき用の瓶を煮沸消毒して瓶詰めする。
かなりの量が出来上がり、自宅で消費する分としても多すぎるし、
知人友人にバラまいてきた。
煮付ける濃さにもよるが冷蔵庫で2、3ヶ月は保存できる。
酒の肴として松茸の佃煮を良く食べていたが、これをこのまま
炊き込み御飯の具材として利用するとなかなか美味しいものが出来る。
いろんな人に食べさせてみたが佃煮より炊き込み御飯として
使ったほうが評判が良かった。
かなり時間をかけて松茸を洗ったり煮付けたりとしたに
なんともへんな結果になってしまった。